三木武夫首相と稲葉法相による「逆指揮権発動」による田中前首相裁判は、公訴権の乱用である可能性がある。「指揮権発動」も「逆指揮権発動」も共に問題があるという観点を持つべきであろう、という主張がある。すなわち、一般に、政争は民主主義政治の常道に属する。その政争に対し、検察権力の介入を強権発動すること自体、公訴権の乱用である。同時に三権分立制を危うくさせ、司法の行政権力への追従という汚点を刻んだことになる、というのである。宮沢喜一外務大臣が日本政府がアメリカ政府に資料を請求する親書において、もし何も出なかった時の日本国の体面を考え「If any(もしなんらかのものがあれば)」とする文言を入れることを三木首相に進言したのに対し、三木首相は「あるに決まっているからそんな文言は必要ない」と言って文言を維持しており、最初から見込み捜査に加担した。また、三木首相が渡米中だった東京地検特捜部担当検事に国際電話で捜査状況について直接問い合わせていたことが判明している。
他方で、いわゆる「逆指揮権発動」とは単に三木内閣がロッキード事件の解明に熱心であったことを指すに過ぎず、なんら問題にすべきところはないという反論もある。例えば田中前首相逮捕の方針は検察首脳会議で決定され、三木も稲葉もその報告を受けただけである。稲葉にいたっては地元で釣りをしている時に安原美穗刑事局長から電話でその報告を受けた程だった。後に稲葉は、「あれだけの証拠があっては指揮権で田中前首相逮捕を差し止めることなど無理で、それを恨まれても困る」と発言している。
不当逮捕の可能性 [編集]
「外為法違反」という別件逮捕で拘束するという違法性、しかもかつて首相職にあったものにそれを為すという政治主義性という問題があるとする主張もある。しかしながら、田中前首相の場合「5億円の受け取り」という一つの行為が外為法違反と収賄罪の双方に関わっていることなどを考えれば、別件逮捕という批判は当たらないとの反論もある。
“作文”調書の可能性 [編集]
各被告の供述証書が検事の作文に対する署名強要という経緯で作られた事が判明している、この様な検事の暴走行為は下記にもあるように他にもみられることではあるが、まさに「権力犯罪」、「国策裁判」と考えても差し支えない、という主張もある。しかし検事調書の作成にあたって一問一答を忠実に記録するのではなく、検事が供述をまとめた調書に被告(被疑者)の署名捺印をさせる、という手法は日本の刑事裁判に一般的なもので、その是非はともかくとしてロッキード事件に特有のものではない。また、一般にロッキード裁判批判論では、丸紅の大久保利春被告が公判でも大筋で検事調書通りの証言を行なった事実が無視されている。
流行語 [編集]
事件の捜査や裁判が進むにつれ、事件関係者が発した言葉や事件に関連した符丁が全国的な流行語となった。
(ぜんぜん)記憶にございません
衆議院予算委員会にて最重要参考人と目される小佐野賢治が喚問を受けた際、偽証や証言拒否を避けつつ質問に対する本質的解答をしない意味をもつこの発言を連発。なお、これ以降は他の証人も同等の言葉を多用するようになった。
ピーナツ(ピーシズ)
賄賂を受領する際の領収書に金銭を意味する隠語として書かれていたもの。100万円を「1ピーナツ」と数えていた。なお「ピーシズ」はpeaces、つまりピースの複数形で、実は「ピーセス」発音が正しい。
ハチの一刺し
田中元総理の元秘書で、事件で有罪となった榎本敏夫の三恵子前夫人が、榎本に不利な法廷証言を行なった心境について述べた言葉。
よっしゃよっしゃ
田中元総理が全日空への工作を頼まれたときに発したとされる言葉。
他国における「ロッキード事件」 [編集]
オランダでは、空軍における戦闘機(F-104を売り込んでいていた)の採用をめぐって、女王ユリアナの王配ベルンハルトにロッキード社から多額の資金が流れ込んでいたことが明らかにされた。これは日本での汚職事件と相まって対外不正行為防止法を制定させるきっかけとなった。
イタリアでは、C-130の採用を巡り、大統領ジョヴァンニ・レオーネが首相在職中にロッキード社から賄賂を受けていた疑惑が明るみに出、レオーネは任期を半年残して辞任に追い込まれた。
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